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鳥になった王さま 2

ある日の夕方、大臣が家で休んでおりますと、一人の旅人がやってきていいました。
「私は旅の魔法使いでございます。もう日も暮れようとしておりますのに、私には眠るところが無いのです。哀れだとお思いになられるのでしたら、どうぞ一晩の宿をお恵みください。」
大臣は気のいい人でしたし、お客好きでもありましたので、
「いいとも。いいとも。さあ、お入りなさい。」
と、魔法使いを招き入れました。
魔法使いは、お礼の言葉とともに、袖の中から赤い液体の入った小びんを取り出して、
「これは、感謝の印でございます。この薬を飲んで『ゼルオ、オゼ、リドゥム(ゼルオドルムよ、御照覧あれ)』と唱えれば、どんなものにでも姿を変えることができます。そして、もう一度、『ゼルオ、オゼ、リドゥム』と唱えれば、すぐにもとの姿に戻ることができるのです。」
といいました。

 

大臣が大喜びでその薬を受け取ろうとすると、魔法使いは「でも」と話を続けました。
「この薬を飲んで姿を変えている間は、決して笑ってはいけません。どんなにおかしく、楽しいことがあっても、決して笑ってはいけないのです。もし、笑ってしまったら、ゼルオドルム王の呪いを受けてもとに戻ることができなくなってしまいますから。どうです大臣殿。約束できますか?」
大臣は『ゼルオドルム王の呪いを受けて』という言葉は、さすがに少し恐ろしい気もしましたが、好奇心には勝てません。何度もうなずいて
「もちろんだとも!例えくすぐられたって笑うものか!」
と約束しました。
大臣は薬を受け取ると、こんなにおもしろそうなものを一人で使うのは少しもったいないと思いましたので、
「王さまと二人で使ってもいいだろうか?」
と、魔法使いに尋ねました。
すると、魔法使いは『にっ』と笑って、
「けっこうですよ。ためしにお二人で動物にでもなってみてはいかがですか?そうすれば、人が人から隠そうとする、ましてや、大臣殿のような身分の高い方にはまかりまちがっても見せることのないおもしろい姿を見ることができるでしょう。」
と、いうのでした。

 

そこで、大臣は魔法使いを家に残して、さっそく王さまの宮殿へと出かけていきました。

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