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鳥になった王さま 10

「ソラト、もう泣くのはやめなさい。僕とカイムさんを見てごらん。君よりも、ずっとずっと長生きだけれども、いまだに悪魔をしているではありませんか。」

そう、一角獣がいうと

「さよう。わがはいたちはもう、とうの昔に天へ帰ることを諦めてしまった。しかし、あなたはまだ諦めていないのだ。その点だけでも、わがはいたちより遥かに立派ではないか。なあ、アムドゥシアス。」

と、カイムと呼ばれたツグミもうなずきました。

でも、ソラトはふるふると頭を振っていいました。
「お二人は例え悪魔に堕とされている身であっても立派な方です。カイムさまはその雄弁で名を馳せておられますし、アムドゥシアスさまは世に並ぶ者のない音楽家ではありませんか。でも、わたしはだめな悪魔なのです。天使にも戻れず、悪魔のままでもいられない、だめな悪魔なのです。」

涙を流し続けるソラトをなぐさめながら、ツグミも一角獣も口をそろえていいました。

「彼女のような清い心の持ち主が下界で涙を流しているというのに、天には見た目や素性ばかりを気にする阿呆どもがのさばっている。なんとも理不尽なことではないか!!」

王さまは、その言葉を聞くとたまらなく悲しくなりました。ソラトという悪魔は、王にも戻れず、鳥のままで生きていくことも出来ない自分と同じだと思いました。

そして、知らない内に泣いている自分がいるのに気がつきました。

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