よくわからない何か。

○こにゃん

 

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○こゃんがすげーうまく書けたので思わず更新しておきますね。

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鳥になった王さま 16

 

次の日の朝、大臣の家の庭に、ぼろ雑巾のようになった鳥が一羽、死んでいました。
やがて、年老いた召使がそれを見つけて拾い上げると、川の中に捨てました。

鳥は澱みのなかで長いこと浮いておりましたが、ゆっくりと沈んでいきました。

 

 

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鳥になった王さま 15

一月ほどたったある夜。王さまは夢を見ました。

 

その夢では、あの城のなかで三人の悪魔がなにかをまっているのでした。
しばらくすると、トランペットを持った猫をしたがえたカエルがやってきて、三人にいうのでした。

「ビレトさまからのお知らせだ。悪魔ソラトは本日付で天に戻ることが許された。出発の支度ができしだい、わたしの城へくるがよい。」

カエルの口上が終わると、猫たちはいっせいにトランペットを吹き鳴らし、口々に

「おめでとう、天使ソラト。」

と、いいました。
悪魔たちは、知らせを聞くと立ちあがって王さまの方におじぎをし、ゆっくりと消えていきました。

三人が消えた後、王さまがぽつんと一人で立っておりますと、そこへやってきたのは大臣でした。
王さまが口を開くよりも早く、大臣は

「ソラトさまがわたしも天国につれていってくれるそうでございます。わたしもかねてからいきたいと思っていた場所ですし、お言葉に甘えることにいたしました。王さま、次にあなたにお会いするのは、もうずっとずっと後のことになりましょう。さようなら、王さま。天国でおまちしております。」

と、わかれをのべて消えていくのでした。

 

王さまは、泣きながら飛び起きると、バルコニーに走り出て叫びました。

「まってくれ、大臣。わしもつれていってくれ、おいていかないでくれ。」

じきに王さまの声におどろいたお妃や夜警の兵士たちが何事かとあつまってまいりましたが、王さまはそれにかまわず、一晩中泣きつづけました。

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鳥になった王さま 14

王さまが下に目をやると、町の真ん中にある広場には人々が大勢あつまっておりました。

不思議に思って見ていると、そこはまさに、にせものの王さまが何人かの人たちを処刑しようとしている所でした。
人々の話す声を聞いてみると、さしたる悪事とも呼べないような罪のようです。
王さまはさっそくソラトに教わった言葉を思い出しながら、にせものの王さまめがけてフンをしていいました。

「ジヴェナ、レぺ、エヘト、カンヘート。ジヴェナ、レぺ、レヘエヘト、カンヘート。」

すると、その言葉を言い終わるかどうかといううちに王さまの姿は元の姿に、魔法使いは鳥の姿になりました。
人々は、王さまが消えたと思ったら空から降ってきたのでびっくりしていましたが、王さまが処刑を中止して今までのことを説明すると、みな、北の方を向いて口々に感謝の言葉をのべました。
王さまの頭の上では、一羽の鳥がうろうろと飛んでおりましたが、近くにとまっていた大きなタカが、さっとさらっていってしまいました。

王さまは宮殿に戻ると、まっさきに大臣のことを聞きました。
家来がいうには、王さまが元に戻ったのとちょうど同じ時間に、ふっと消えてしまったということでした。

王さまは大臣のことを国中で探させましたが、何日たっても見つかったという知らせは一向にありませんでした。

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鳥になった王さま 13

ツグミは王さまを上着のポケットにつっこむと、風のように飛びました。

一羽ばたきで、小さな川と大きな河を七つと七つ、
二羽ばたきで、小さな海と大きな海を七つと七つ、
三羽ばたきで、小さな野原と大きな野原を七つと七つ、
四羽ばたきで、小さな砂漠と大きな砂漠を七つと七つ飛び越えました。

レービュの国につくと、ツグミは王さまをひっぱりだしていいました。

ソラトはなにもいわなかったが、あの娘はやはり天に戻りたいのだ。
お前が王に戻り、それが人々に喜びをもって迎えられるのならば、彼女は天使に戻ることができるやもしれん。
しかし、お前が人々を苦しめるようなことがあれば、彼女は悪魔のままなのだ。
わがはいとアムドゥシアスには感謝など必要ない。
だがソラトへの感謝は忘れるでないぞ。
彼女を悲しませるようなことがあれば、わがはいとアムドゥシアスは必ずお前を八つ裂きにするだろう。

その言葉に王さまがうなずくよりも速く、ツグミは目の前から消えていました。

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鳥になった王さま 12

「ごめんなさい、ごめんなさい。」

そう、泣きながらあやまりつづけるソラトの頭をなでながら、ツグミは
「彼女をゆるしてやってはくれないだろうか?ずっと苦しみつづけてきたのだ。わがはいたちにはこうするしか方法がなかったのだ。われわれ悪魔のしていることはただの悪あがきで、人々を不幸にしているだけなのかもしれん。しかし、それが悪魔を悪魔たらしめている原因であっても、そうすることしかできないのだ。一人では何もできない。悪魔は天使と、ましてや神とは違うのだ。」
と、王さまに頭を下げました。

その時、王さまは、自分が信じてきたものの多くがでたらめであったということを知りました。
自分の目で見たこと。それが全てであって、それだけは間違いのない、王さまにとっての本当なのだと知りました。

「さあ、ソラト。泣いている暇はありませんよ。今こそ一万の人の悲しみを、一万の人の喜びにかえるのです。」
と、一角獣がいいました。

王さまが
「元の姿に戻るにはどうすればよいのですか?」
と、たずねると、ソラトは
「元の姿に戻るのはかんたんですが、そうして国に帰っても魔法使いに捕まってしまうでしょう。まずは、その姿のままで国に帰ってください。そして、魔法使いにフンをかけてこういうのです。
『ジヴェナ、レぺ、エヘト、カンヘート(偽物を与える時には、私たちの物を与える)』
『ジヴェナ、レぺ、レヘエヘト、カンヘート(偽物を与える時には、私たちの者以外には与えない)』
と。そうすれば、あなたが人間に、魔法使いは鳥になるでしょう。」
と、王さまに教えました。

王さまはほかにももっとたずねたいことがあったのですが、
「さあ、わがはいがお前をおくりとどけてやろう。さあ、いくぞ、魔法使いがこれ以上の人を悲しませる前に。」
と、ツグミが大声で急かしましたので、王さまはしかたなくソラトと一角獣にわかれをつげました。

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鳥になった王さま 11

「人の涙の匂いがしますね。」
一角獣がいいました。
「また、どこかで悪魔が人を泣かせてしまったのだろう。残念なことだ。」
ツグミもいいました。
ソラトもそのことに気がついたのか、彼女は涙をその瞳いっぱいに溜めながらも顔を上げました。そして、泣くのをやめて真っ白な袖で涙を拭くと、その顔に美しい笑顔を浮かべていいました。
「扉の後にいらっしゃる方。このだめな悪魔のために涙を流してくださることに感謝いたします。さあ、こちらにおいでください。こんな所にまでいらしたからには何かわけがあるのでしょう?さあ、こちらで話してください。」

王さまがおずおずと部屋に入っていきますと、ツグミは
「何だ、鳥ではないか。人ではないのか?」
といいましたが、一角獣は王さまを見て
「まってください、カイムさん。この鳥は、確かに人のようですよ。」
といいました。
王さまは悪魔たちを前にして、しばらくの間ぼうっと立っておりましたが、気がついたときには
「あなたたちは、何をなげいているのですか?天国に帰るとか、天使に戻るとか、それは一体どういうことなのですか?」
と知らないうちに質問が口をついて飛び出していました。

ソラトはその質問を聞くと、再びうつむいてしまいましたが、ツグミは
「何も知らんのだな。」
と呆れ顔でつぶやきながらも
「わがはいたち悪魔は皆、もともとは神の下に仕える天使であったのだ。言葉を言葉通りにしか理解できん馬鹿ものどもの卑劣な策謀によって、天上から堕とされてしまったがな。ところでわれわれは天に戻ることもできる。一万の人々を喜ばせ、感謝の言葉を受けることが、それだ。しかし、われわれはお前たち人間と直接に関ることを禁じられている。だか、それでは『一万の人々を喜ばせる』ことなどできん。そこで、思案に思案をかさねた結果、魔法使いに力を貸し、わがはいたちに代わって彼らに力を使ってもらうことにしたのだ。だが、魔法使いというやつはたいていが悪いやつなものだから、わがはいたちの貸してやった力を好き勝手に使いほうだい使う。結局、逆に一万の人々を悲しませることになり、天に戻ることもかなわんのだ。」
と、王さまに教えてくれました。

「わたしも、天に戻りたい一心で、一人の魔法使いに力を貸しました。でも、そのかたは私の力を使って人々を苦しめるばかりなのです。」
そういってうつむくソラトを見て、王さまは
「この姿も、魔法使いによって変えられてしまったものです。そのせいで、あなたのように泣いている悪魔がどこかにいるのですね。」
と、いいました。

すると、一角獣は王さまをじろじろと見つめてたずねました。
「もしや、あなたはレービュの王ではありませんか?薬によって鳥になったレービュの王ではないのですか?」
その声に、ソラトは弾かれたように顔を上げると、
「ああ、わたしです。その魔法使いに力を貸したのは。」
と叫び、ふたたび涙を流し始めました。

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鳥になった王さま 10

「ソラト、もう泣くのはやめなさい。僕とカイムさんを見てごらん。君よりも、ずっとずっと長生きだけれども、いまだに悪魔をしているではありませんか。」

そう、一角獣がいうと

「さよう。わがはいたちはもう、とうの昔に天へ帰ることを諦めてしまった。しかし、あなたはまだ諦めていないのだ。その点だけでも、わがはいたちより遥かに立派ではないか。なあ、アムドゥシアス。」

と、カイムと呼ばれたツグミもうなずきました。

でも、ソラトはふるふると頭を振っていいました。
「お二人は例え悪魔に堕とされている身であっても立派な方です。カイムさまはその雄弁で名を馳せておられますし、アムドゥシアスさまは世に並ぶ者のない音楽家ではありませんか。でも、わたしはだめな悪魔なのです。天使にも戻れず、悪魔のままでもいられない、だめな悪魔なのです。」

涙を流し続けるソラトをなぐさめながら、ツグミも一角獣も口をそろえていいました。

「彼女のような清い心の持ち主が下界で涙を流しているというのに、天には見た目や素性ばかりを気にする阿呆どもがのさばっている。なんとも理不尽なことではないか!!」

王さまは、その言葉を聞くとたまらなく悲しくなりました。ソラトという悪魔は、王にも戻れず、鳥のままで生きていくことも出来ない自分と同じだと思いました。

そして、知らない内に泣いている自分がいるのに気がつきました。

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鳥になった王さま 9

黒いお城の中へと入った王さまは、不思議なことに気がつきました。
外から見たときは不気味で恐ろしげに見えましたのに、実際に入ってみるとお城の中は明るくてぽかぽかと暖かく、とても僧侶たちのいう、恐ろしい悪魔が住んでいるようには見えないのです。
王さまは、ずっと飛び続けて疲れておりましたし、そのお城も柔らかい毛布のように王さまの体を優しく包みこみましたので、少しだけ眠ることにしました。

しばらくして、目を覚ました王さまの耳にはどこからか話し声が聞こえていました。
それは、少女と二人の男の声で、泣いている少女を男たちがなぐさめているようでした。

王さまがその声のするほうへと進んでいきますと、大きな扉に突き当たりました。
どうやら、話し声はその扉の向うから聞こえてくるようでしたので、王さまは扉を少しだけ開けて中をのぞきました。
すると、そこには真っ白なドレスを着た少女と、バイオリンを持った一角獣。そして、軍服を身につけて腰にサーベルをぶら下げた一羽のツグミがいたのでした。

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鳥になった王さま 8

小さな川と大きな河を七つと七つ、
小さな海と大きな海を七つと七つ、
小さな野原と大きな野原を七つと七つ、
小さな砂漠と大きな砂漠を七つと七つ越えました。

それでも、悪魔の住むという城はいっこうに見えてきません。
二人はだんだん不安になってきました。もしかしたら、あの老人も自分たちのことをだましたのかもしれない、そう思いました。

七日七晩飛んだ夜、大臣は悲しそうな声で
「王さま、もどりましょう。もう、ここがなんという場所なのかすらわからないではありませんか。わたしはもう死んでしまいそうです。どうせ死ぬのであるなら、もとに戻れなくても、家に入れてもらえなくても、せめて、見知った土地で死にたいと思います。」
と、いいました。
その時、はるか遠くに大きな山が見えましたので、王さまは
「あの山まで飛んでみよう。あの山を越えて何も見えなかったら、お前のいうとおり国に帰ろう。」
と、大臣をはげましました。

その山を越えた時、はたして王さまの眼に真っ黒なお城が映りました。
「あれが、悪魔の住む城だろうか?」
そういってふりかえった王さまの後には、今越えてきたばかりの山だけがありました。

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